犬の栄養バランスについて
人間に必要なのは”五大栄養素”と言って「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」の事を言います。犬は私達人間と同じで哺乳類動物に当たるので、基本的に必要な摂取栄養素は人間と大体変わりありません。街中で販売されている良質なドッグフードには、これらの栄養素がちゃんと含まれていたりします。
実際に自分が飼っている可愛い愛犬は、しっかり毎度の食事の中で必要な栄養素や量を摂取しているでしょうか。飼い主である皆さんも犬に大事な栄養素を一緒におさらいして把握しておきましょう。
五大栄養素の役割

炭水化物
炭水化物の役割
炭水化物の糖質が体のエネルギー源として使われます。脳の働きや筋肉運動のために必要不可欠な栄養になります。また、脂肪細胞や筋肉細胞にエネルギー源として余った炭水化物が蓄えられる様になっており、お腹が空いた時等に糖質が作られ活用されます。
炭水化物が不足
・低血糖
・免疫力低下
・発育障害
炭水化物の主な食べ物
・米
・砂糖
・デンプン
・イモ類 等に沢山含まれています。1gあたり4kcal位です。
犬に関しては、適正な炭水化物摂取量は定められていないのですが、過剰摂取は肥満に繋がるので注意しましょう
たんぱく質
たんぱく質の役割
体内組織を形成するために必要なアミノ酸を供給しています。筋肉、皮膚、血液、内臓、毛、爪、靭帯、軟骨、毛等が挙げられます。また、ホルモンや免疫物質生成の材料にもなります。
タンパク質が不足
・発育障害や
・貧血
・抵抗力の低下
・食欲不振
たんぱく質の主な食べ物
・お肉の赤身
・お魚
・大豆類
・卵白
・牛乳
・チーズ 等に沢山含まれています。1gあたり4kcal位です。
必要な最低摂取量
理想体重1kgにつき1.6g以上
理想体重1kgにつき2.5g以上
また、たんぱく質は炭水化物や脂質からは作る事は出来ないので、食事から摂取する必要性があります。
2種類のたんぱく質
動物性:全ての必須アミノ酸が含まれています。
植物性:一部のアミノ酸含有量が少ないです。
アミノ酸は22種類あって、これら全てのアミノ酸が動物が生きていくためには必要になります。
犬の場合、非必須アミノ酸である12種類のアミノ酸は体の中で生成す事が出来ますが、必須アミノ酸である残りの10種類のアミノ酸については日頃の食生活から摂取していかなければなりません。
脂質
脂質の役割
栄養素の中で脂質は1gあたりのkcalが一番高く、脳や筋肉に取り込まれてそれらのエネルギー源となります。エネルギー源として余った脂質は、脂肪細胞や筋肉細胞に蓄えられます。また、脂質摂取は体の体温を保つための役割も果たしています。その他、脂溶性ビタミンの吸収をサポートしたり、必須脂肪酸を生産したり、食物の美味しさを高めるたり、様々な役割をもっています。更に、臓器保護、細胞膜形成、ホルモン生成、これらの材料にもなっています。
脂質の過剰蓄積
・肥満
・下痢
・内臓疾患
脂質不足
・免疫力の低下
・発育障害
・赤血球の減少
・被毛のトラブル
・皮膚のトラブル 等を引き起こす可能性がありす。
脂質の主な食べ物
・肉の脂身部分
・バター
・生クリーム
・植物油
・卵黄 等に沢山含まれています。1gあたり9kcal位と高いです。
犬に必要な資質の量に決まりはありませんが、高カロリーなので過剰摂取は避ける様にしましょう。
ビタミン
動物が生きて成長していくにあたり必要な栄養素で、エネルギー源として活用される事はありません。体の状態や調子を整える役割をします。体内でビタミンを作る事は出来ないため、食事を通して食べ物から得ていく必要性があります。
ビタミンの主な種類
ビタミンA ビタミンC
ビタミンB1 ビタミンD
ビタミンB2 ビタミンE
ビタミンB3 葉酸 等沢山の種類があります。
これらのビタミンの中でも「ビタミンC」と「ビタミンK」に関しては、犬の体内(肝臓)で合成が出来ます。なので、私達人間とは違って食事からの摂取の必要性はありません。しかし、高齢になった老犬になると肝臓が弱くなってくるので、その場合は食事からの摂取が必要となる事も覚えておきましょう。
それ以外のビタミン、特にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB群は、食事で適量を積極的に摂取していけるように心掛けましょう。
2種類のビタミン
・脂溶性ビタミン:「脂」に溶けて、尿と一緒に排泄する事が出来ない
・水溶性ビタミン:「水」に溶けて、尿と一緒に排泄する事が出来る
この様に、ビタミンには2つの種類があり、摂取の脂溶性ビタミンについては摂取し過ぎに気を付けて下さい。
ミネラル
日本語では無機質と呼ばれるミネラルは、特に慎重な摂取が必要な栄養素です。犬が必要とするミネラルには12種類ありバランスよく摂取することが大切です。鉄、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、ヨウ素、ナトリウムなどです。
ミネラルの役割
体液バランスの調整、細胞機能、神経伝達、筋肉の収縮運動、体の骨つくり等、体にまつわる大切な役割を担っています。主要ミネラルの中で特に重要なのはカルシウムとリンで、どちらも「骨・歯」の構成成分になります。
ミネラル過多・不足
・骨格異常、変形
・尿路結石症
・発育が遅くなる
・骨軟骨症
・食欲不振
このように、骨や歯に関わる病気が誘発されます。
特に大型犬になると深刻な問題になると言われています。カルシウムやリンの過剰摂取によって体内のマグネシウムが不足してしまいます。小型犬の場合、元気がなかったり筋肉の衰えが見受けられる様になります。
私達人間にとって必要な摂取量と犬にとって必要な摂取量は違います。どれかミネラルを1種類だけ大量に与えたりしてしまうと犬の体全体のバランスが崩れてしまう事になるので、気を付けましょう。
水分摂取も大切!!
健康な犬が一日に必要な水の量を皆さん知っていますか?人間にとっても水分を摂る事が大事な様に、犬にとっても大切です。人間が口にしている水は犬にも適していますが、水質検査を行っていない井戸水等は要注意して下さい。
犬にとって良いお水
水道水
水道水が一番手軽で犬にも害の少ない飲料水かもしれません。水道水には一般的に塩素が含まれていますが、犬に害になるような塩素の量は含まれておりません。ただし、毎日飲み続けるものであるため、水道水に含まれる塩素や発がん性を指摘されるトリハロメタン注意したい人は、浄水器などを利用しても良さそうです。
浄水器を付ける良さ
・塩素の心配がなくなる事
・硬度に気を払わなくても大丈夫な事
犬用水
街中のペットショップ、ネット通販等で犬用の水が販売されています。
・犬の体臭を抑える事が出来る
・健康を保つ効果
これらが期待出来るお水となっております。価格は飲料水のミネラルウォーターより高いです。
お水の適切な量
一日に必要なエネルギー量と大体同じです。
体重1㎏あたり約130mL
体重5㎏あたり約650mL
体重10㎏あたり約1.3L
体重20kgあたり約2.6Lになります。
毎日の水分摂取もしっかりと与えていきましょうね。
水分不足
・脱水
消化器系、呼吸器系、泌尿器系に大きな悪影響を及ぼす場合があります。
体の中の総水分量の10%が失われる:危篤状態
〃 15%が失われる:死に至ると言われています。
犬の健康に欠かす事の出来ない栄養素と水分について触れてきましたが、自分の飼っている愛犬の食生活を見直して、楽しく元気に愛犬と暮らしていきましょう。